2010年3月14日(日)南草津のしが県民芸術創造館で、総勢260名ほどのプロとアマチュアの出演者によるシアターピース演奏会が、ついに本番を迎えました。
滋賀県文化振興事業団とのタイアップで、富岡先生が総合プロジュースと音楽監督を担われ、「美しい琵琶湖と水の恵みに感謝して・・」というコンセプトの演奏会、それも劇場全体を演奏空間として、舞台上だけではなく、客席や通路からも演奏が届けられ、演奏者の演奏に映像や電子音響も加わって繰り広げられていくシアターピース形式の演奏会。
2時の開演でホールの扉が開かれたら、そこには湖の色彩と静かな水の音が観客を迎え入れ、ここからすでにシアターピースが始まるのです。
先ず、第1部は女声合唱組曲「水のいのち」。去年12月の自主練習を含め、2月までの5回の合同練習に、この演奏会の趣意に賛同して、琵琶湖と水の恵みに感謝の歌を捧げようと集った滋賀、京都、大阪、兵庫の女性たちは160人。田三郎作曲のこの名曲を、女声ならではの繊細さや慈愛、深い命のメッセージを心ひとつに届けられたらと、先生の熱いご指導のもと、皆さんが素晴らしい熱意で練習を重ねられ、本番には名実ともに、皆が「淀川水系女声合同合唱団」という一つの合唱団となって、見事な演奏を届けることができました。
1/9草津での合同練習

1/23京都合同練習(Frisches Eiの皆さんのご協力で、御池中学校を利用させていただきました。)

2/27草津合同練習


特に今回の女声合唱「水のいのち」の演奏に、かねてより富岡先生に田三郎先生の作品を後世に伝えてほしい指揮者と応援をくださっている田留奈子令夫人が温かなメッセージをお送り下さり、そのメッセージの中に、『とりわけ4番の「海」には、女声ならではの良さを感じる。人生には多くの悩みや苦しみがあり、常に「空の高み」を目指して生き抜いた末に、最後には幼な児のように母の愛の手に抱かれて、「満ち足りた死」を静かに迎えることができるのではないだろうか、「見なさい、これを見なさい」という最終のくだりには、子守歌を歌う母の声のように、優しくあたたかく響き、私達が死を迎える時、祈り助けて下さる聖母マリアの愛をも感じさせる』というお言葉があり、富岡先生からも最後の練習に、この母の愛を深く胸に刻むメッセージがあり、合唱団員全員がこのテーマを心に「海」を歌いあげられたと思いました。
田留奈子先生と富岡先生(打ち上げ会にて)

打上げ会に参加できなかった皆さん、田留奈子先生が最高のお言葉を下さいましたよ。
留奈子先生は実は女声合唱の「水のいのち」を聞いたのは初めてかもしれないとのことで、今回の演奏では、「水の魂」のようなものを感じた、そして4番の「海」は子守歌のように響き、皆さんが「母の愛」を見事に表現してくださって涙が出たと言って下さいました。留奈子先生の涙が出る瞬間の間をおいて、5番の「海よ」の前奏に入られた富岡先生の絶妙のタイミングも絶賛されていました。私も「海」を歌いながら、先生と共に、皆さんの声に本当に思いが乗っているというのをひしひしと体感しました。この光栄な講評に、打上げ会では富岡先生と淀川水系女声合同合唱団のメンバーで万歳!万歳!で感謝をしました。万歳ができなかった皆さん、今度お出会いしたら、握手して、一緒に万歳をしましょうね!
他の方からも、160人とは思えない統一された音色と心にしみわたる表現だったという言葉も頂きました。
裏話をもうひとつ。本番45分くらい前になってきて、早々着替えとメイクをすませた160人の女性たち。中央に仕切りのある大きな楽屋では、先ず滋賀から参加の皆さん達が寄りあって、練習をしようと歌い始められ、そこに参加させてもらおうかと思っていたら、今度は京都や兵庫の方の皆さんが反対方向から練習を始められ、その歌声がどんどん広がって、最後には仕切りを挟んで、両方向から全員で5番までおさらいをしてと、皆さんがいい演奏をするぞという意気込みが一つとなり、本番を迎えられたことにもとても感動しました。このような喜びがあるから、合唱は止められない!ですよね。それにしても意識の高い素晴らしいメンバー達が揃って下さり、本番は先生の気迫の指揮に、皆がしっかり反応できて、私は生涯忘れられない「水のいのち」の演奏になりました。
本番前、楽屋にて


そして話は演奏会に戻ります。
第2部は滋賀を代表する滋賀男声合唱団による男声合唱のためのカンタータ「みずうみの歌」。琵琶湖の風物詩とそこに生きる人々の営みが、5曲の組曲で繰り広げられ、今回はステージ背景に曲中の様々な琵琶湖の風景が映し出され、琵琶湖の色々な表情が男声合唱の、時に重厚で、時にロマンに満ちて、そして千古の昔から未来に続く琵琶湖を讃えるメッセージとなって、展開しました。
前日リハーサル風景 滋賀男声合唱団「みずうみの歌」 安土夢幻


これも打上げ会で知ったことですが、今回のプロジューサーを務められた高橋博氏がこの映像撮影のため、琵琶湖を5回も回られたそうで、季節ごとに表情を変える琵琶湖、是非一度は琵琶湖周遊をしてくださいと言葉があり、そういえば、滋賀男声合唱団の皆さんも一昨年琵琶湖ホールで開催されたJAMCA滋賀大会でホスト合唱団として、「みずうみの歌」を演奏されたときに、「みずうみの歌」ツアーをして、曲を深められたと聞きました。
今回の演奏では、映像とも相まって、琵琶湖とそこにまつわる人模様も目に浮かんで、これぞ、滋賀男という名演奏でした。
前半の2ステージが終わったところで、「Thanks琵琶湖」のセレモニーが・・・
今回遠路を応援にお越し下さった田留奈子先生に、感謝の花束贈呈を。
そして、淀川水系女声合同合唱団から、琵琶湖への保全に何かの役にたててほしいと琵琶湖の水質調査活動をされている
「びわ湖トラスト」というNPO団体に寄付贈呈が行われました。
さて、いよいよ第3部、シアターピース「生命の舟」。
草津ご出身の中村典子先生の委嘱初演作品。プロの演奏家たちの打楽器アンサンブル、琴、フルート、混声合唱、独唱、児童ナレーション、舞踏、またスクリーン映像、電子音響、照明美術も駆使されてのこれぞまさしく総合芸術空間。頭の中での想像を遥かに超える神秘とドラマの世界で、先ず客席のいろんなドアから混声合唱団が無声音やアンティックシンバルを静かに奏でながら、入場し、舞台へ。そして水音が奏でられ、地球の誕生。
様々な打楽器が神秘の音を醸し出し、湖上が表現され、音空間もどんどん広がり、その気迫の演奏に吸い込まれました。可愛い少女がいのちのメッセージを生き生きナレーションし、メッセージは、中国語、ハングル語、英語の字幕がステージスクリーンに流され、混声合唱団も素晴らしいプロの音色と演技を披露。舞踏の皆さんは、湖の中の生命体を軽やかに舞い、水が汚染されていくシーンでは、マリンバの迫力と共に、苦しみあえぐ様を表現し、箏やフルートの演奏も和楽器や洋楽器の枠を超えたコラボレーションで、そして最終のシーンでは、わたしたちはだれもひとりでは生きていけない。水といのちを大切に共に生きていこうというメッセージに出演者たちが肩寄せ合い、見つめる先には、ソプラノとカウンターテナーの澄み渡ったデュエット「川のほとりのこもりうた」。二人の歌声があまりに溶け合って、どちらがソプラノなのかアルトなのかわからないほどの美しい音色。1番の歌詞は中国語、2番はハングル語で歌われ、そしていよいよフィナーレの頃には、客席のまわり一周を合唱団の全員が囲み、共にこの子守歌を手をつないで、ステージも客席もが一体になって、ホール全体をこのこもりうたで包みこみ、シアターピースが完結したのでした。
打上げ会で、それぞれのプロ奏者、声楽家、舞踏、映像、音響とインタビューがあり、特に映像の方は、最後の最後で映像制作もどんどん増え、3日ほどほとんど寝ておられなかったそうです。でも各々にこの作品を通して、新しい挑戦が出来たことや枠を超えた演奏が出来たことに大変感謝をされていました。
「水のいのち」から始まって、「みずうみの歌」そして、「シアターピース生命の舟」へと、ホールにはうみの鼓動が響きわたり、私達の心には、琵琶湖と水の恵みへの感謝、人と手をつなぎあって生きていく尊い思いがあふれました。
最後になりましたが、淀川水系女声合同合唱団の事務局を一手に引き受け、11の合唱団と個人参加者、合せて160人もの皆さんへの諸連絡、手続きをこなしてくださった滋賀男声合唱団の荒木事務局長に女性一同心よりお礼申し上げます。
また合同練習の度に、各地の練習会場の設営や事務作業の手伝いをして、サポートしてくださいました滋賀男声合唱団の3名のTP委員様にも深く感謝いたします。
そして、この一大プロジェクトの構想立案から昨日の本番成功まで、ゼネラルプロジューサー、音楽監督、3ステージ全ての指揮を務め、私達に高いレベルの演奏を目指させて下さった富岡先生に心からの感謝を申し上げます。
この新しい劇場芸術の挑戦は、今後中国や韓国ででも演奏チャンスがあって、水の恵み、環境への警告、アジアの友が一緒になって、音楽を通して考えあい、手を取り合えるきっかけになっていったら、どんなに素晴らしいかとまた夢がふくらみます。
そうそう、本番の日は折しも3/14のWhite Day。当日リハーサルが終了したときに、女声合唱団の代表者は富岡先生の楽屋に集合してくださいという指示。なにか急な通達があるのかと気をもんでいたら、先生はにこにこ顔。今回160人の皆さんとゆっくり話す機会がなかったけれど、今回の演奏会の主旨に賛同して、出演してくださったことに感謝して、女性全員にWhite Dayのプレゼントと準備してくださっていたのが、↓。先生の愛を感じて、本番に挑んだ淀川水系女声合同合唱団一同でした。感謝!

本番前、フラワーのY-chanが色んな楽屋を訪問して、写真撮影してくれました。
Web Album(←こちらをクリック。開いた画面の写真の左上の『スライドショー』ボタンを押して、閲覧ください)にアップさせていただきましたが、ご本人たちの許可を得ずしてアップさせていただきましたので、もし不都合がございましたら、フラワー・コーラス flower_chorus@yahoo.co.jp までご連絡ください。
皆様、本当にありがとうございました。
m~chan